永井豪の作品

名だたる作品を多く持つ、永井豪

永井豪は戦後から現在までコンスタントに活動している漫画家だけあって、大変作品数が多いのですが、その中から特にオススメの作品を幾つか紹介したいと思います。

キューティハニー

「キューティハニー」は1973年に永井豪とダイナミックプロによってメディアミックス企画としてリリースされた漫画とアニメです。度重なるアニメ化や映画化が行われているため、知らない人の方が少ないのではないでしょうか。体内に「空中元素固定装置」を内蔵している少女の姿をしたアンドロイド・如月ハニーが主人公の物語。人間を大きく超える運動能力を持ち、装置によって自在に衣装や所持アイテムを変えられ、その衣装に応じた能力を発揮できるという設定です。宝石や美術品を狙う犯罪組織パンサークローの刺客とキューティハニーの戦いを、ハニーにメロメロな早見一家とハニとの愉快なやり取りを交えて描いています。ハニーが姿を変えて刺客の前に現れ、対決の時「あるときは○○、またある時は△△、しかしてその実体は・・・」と刺客の前に現れ、「ハニーフラッシュ!」の掛け声と共に如月ハニーからキューティハニーに変身、「愛の戦士キューティハニーさ」と名乗りを上げ、刺客と戦うというお決まりの場面が名物となっています。戦う女性をテーマにした作品の先駆け的な作品であり、多くの少女の憧れとなった漫画です。

激マン!

「週刊漫画ゴラク」にて2010年6月から連載されていた漫画「激マン!」は、永井豪自身の漫画製作秘話を描いた自伝的漫画です。「デビルマン」で永井豪を好きになった人にとっては大変楽しめる内容となっています。「ノンフィクションにきわめて近いフィクション」と銘打たれており、永井自身をモデルにした漫画家・ながい激を主人公に、漫画製作の舞台裏やこぼれ話、漫画を取り巻く当時の世相、作品に込めた思いなどが綴られています。2012年9月に完結した「デビルマンの章」では、「デビルマン」執筆の舞台裏だけでなく、編集部とのやりとりや、それに並行して連載していた「ハレンチ学園」の連載終了の経緯なども描かれています。作中には「デビルマン」のページが何度も挿入され、過激すぎて没になったシーンや、連載打ち切りが決まって泣く泣くカットしたシーンなども見られて、大変ワクワクします。「デビルマン」が好きな人には絶対オススメの作品です。

あばしり一家

1969年から1973年に「週刊少年チャンピオン」で連載されていた漫画です。「亜馬尻(あばしり)」という苗字の一家全員犯罪者というとんでもない家族が織りなす、ギャグ・エロ・暴力のドタバタを描くピカレスク・ギャグ・アクション漫画です。映画のようによく練られたストーリーが特徴で、アクションシーンでは血が飛び散り、腕が飛び、木っ端微塵に爆殺など、従来の漫画表現では控えられていたリアリティ、エロ、猟奇すらギャグとして笑い飛ばす豪放磊落さ、主人公が極悪人であるためモラルの壁が存在しない自由なストーリー展開など、やりたい放題描いたらどれほど面白くなるか、という挑戦的な作品でもありました。作風はとても能天気で明るく、陰惨さが微塵もない快作に仕上がっており、現在でも永井豪作品の中で非常に人気の高い作品となっています。

ススムちゃん大ショック

「少年マガジン」の1971年3月7日号に掲載された短編作品です。親子の絆の崩壊をスプラッタホラーの味付けで描いた問題作であり、永井豪の傑作の1つと言われています。ある日、突然大人たちが子供を虐殺し始めるというストーリーで、何とか助かった小学生のススムが、友人たちに助けられて下水道に避難しますが、「親子の絆と呼んでいた、不確かな糸のようなものが切れてしまった」ためにこのような事態に陥っているのではないかと仮説を立てます。しかしススムは自分の母親が自分を殺そうとするはずがない、母親を信じると頑として言い張り、友達の制止を振り切って帰宅しあっけなく母に惨殺されるという物語です。理不尽な大人の対応と救いのないストーリーが強く心に印象を残す作品です。短編ながら多くの読者にトラウマを残した作品でもあります。

手天童子

「手天童子(しゅてんどうじ)」は、永井豪が「デビルマン」、「バイオレンスジャック」に続いて「週刊少年マガジン」誌上に発表した伝奇ロマンです。1976年9月から1978年4月まで連載されました。連載のかなり早い段階で結末が決定しており、それまでの伏線の数々がその結末へ収束していくという永井豪にしては珍しい作品でした。この作品自体を描いている間、体調不良など祟りと思われる現象が起こったと作者が語っているいわくつきの作品でもあります。ストーリーはある日墓参りにやってきた柴夫妻の目の前に、襲い掛かる鬼の手から赤ん坊を守る「戦鬼」が現れ、柴夫妻に「15年経ったら迎えに来る」と言い残して赤ん坊を託します。柴夫妻は「子郎」と名付けた子をわが子のように育てますが、次第に子郎の周りには奇怪なことが起き始め・・・。という内容です。

凄ノ王

「凄ノ王(すさのおう)は、日本神話をモチーフとし、暴力描写をふんだんに盛り込んだ超能力漫画として、1979年に「週刊少年マガジン」に連載が開始された漫画です。第4回講談社漫画賞を受賞したのですが、物語が佳境へ入ったところで1980年に未完のまま連載終了となった作品です。その後各誌に続編が不定期に描かれて、メディアミックス展開も図られました。1982年には永井豪の実兄・泰宇によるノベライズ「凄ノ王伝説」が角川書店から刊行されました。この後、豪も当時角川書店社長であった角川春樹に乞われ、漫画版の続編「凄ノ王伝説」に着手。以後1985年から同社の各誌に続編や番外編の漫画が断続的に掲載され単行本に纏められました。1996年にはオリジナルの発行元である講談社から、「少年マガジン」版に角川書店版からの抜粋を含む約250ページを追加した「凄ノ王 超完全完結版」が刊行されています。

バイオレンスジャック

「週刊少年マガジン」誌上で1973年7月22日号から1974年9月30日号まで、「月刊少年マガジン」誌上で1977年1月号から1978年12月号まで、「週刊漫画ゴラク」誌上で1983年8月5日号から1990年3月23日号まで掲載された漫画です。関東地獄地震と呼ばれる巨大地震によって壊滅し、本州から分断された関東が舞台で、その無法地帯となった関東を暴力によって支配しようとするスラムキングと、それを阻む謎の大男バイオレンスジャックを中心とする死闘、そして絶望的な状況下で逞しく生きる人々を描いた作品です。本作は、「デビルマン」で世界を破滅させて連載を終えた後の作品であり、永井豪は破壊された世界で再起する民衆のエネルギーを描きたかったと後に語っています。本作には永井豪作品のスターが競演することでも知られていて、永井ファンには大変高い人気を誇っています。「マジンガーZ」「ハレンチ学園」「キューティハニー」「凄ノ王」「ドロロンえん魔くん」など数々の永井作品からキャラクターが出演しています。特に「デビルマン」との関連は強く、最後にはこの作品が実はデビルマンの続編であったことも明かされました。「デビルマン」の世界を踏み台にし、「デビルマン」に負けないぐらいの永井ワールドを展開しているオススメ作品です。

永井豪

永井豪の名作!「デビルマン」!